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ケータイが引き寄せる物語

いまとなっては地下でも普通に使えるケータイですけども、昔は地下に入るといつもスグに圏外になり電波が届かなくなる事象がよくあったものだ。

そんな現象はだれものケータイもそうなのだろうと思っていたのだけれど、持っているケータイの液晶に『圏外』の文字が表示されているその横で普通に電話をしている人がいるのをよく見かけていたような気がして、もしかしたら自分のケータイだけが特別地下に弱いのかもしれないの・・・と思ったものだ。

そんな思い出も過去のものだと思っていたが、昔も今でも、地下にしばらくいると驚くほど充電が無くなる速度が早いような気がしてならない。

同じ場所なのになぜ地上と地下で充電の無くなる速度にこうも違いがあるのか・・・たんなる思い違いなのかと思っていたら、電波の弱いところにいる時のケータイは電波を必死に探すためスグに充電がなくなるらしい。

もはやケータイ自体が電波を求めるその行為はもはや生き物だ。そう思ったりするとちょっと携帯電話が恐ろしく気味が悪いと思ってしまう。

それを知ってからはケータイの充電の残りが少ないときの地下では極力電源を切っておくようにしている。ほんと苦し紛れなのだが。

そのため最近は地上に出てもケータイの電源を入れ忘れていることもしばしば。

この前もファーストフード店で本を読んでいる最中、隣りの席に座る中年男性がスマホで話している声が喧しくて、自分のケータイに電源が入っていないことを思い出した。

ケータの電源が入っていないことに気付かせてくれたその時の中年男性に意識が向いた時に、話の内容が耳に入ってきたのだけれど、

『そんな怒らないでよ、アンタが・・・荷物をまとめるのを見たくなかったから・・・わざと外で時間つぶしてたんだよ・・・荷物、全部持っていかなくても後で俺が送るよ・・・』といった思わぬ内容でちょっと驚いた。なんとも哀しいお別れのようで、未練がありそうな様子に思えた。

自分のケータイの電源を入れようと思ったけど、電源を入れた途端、僕のケータイは生き物のように電波を探すことだろう。そうなるとすぐ側の中年男性の電波を引き寄せることに違いない。哀しいお別れをしている男性の携帯に流れる電波を。

たとえ僅かであったとしても奪いたくないと思って思わず電源をいれることを躊躇してしまった。そんなこと全然無いのに。

でもまぁ、すぐに電源入れたんだけど。

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