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4.15.2024

ケータイが引き寄せる物語

いまとなっては地下でも普通に使えるケータイですけども、昔は地下に入るといつもスグに圏外になり電波が届かなくなる事象がよくあったものだ。

そんな現象はだれものケータイもそうなのだろうと思っていたのだけれど、持っているケータイの液晶に『圏外』の文字が表示されているその横で普通に電話をしている人がいるのをよく見かけていたような気がして、もしかしたら自分のケータイだけが特別地下に弱いのかもしれないの・・・と思ったものだ。

そんな思い出も過去のものだと思っていたが、昔も今でも、地下にしばらくいると驚くほど充電が無くなる速度が早いような気がしてならない。

同じ場所なのになぜ地上と地下で充電の無くなる速度にこうも違いがあるのか・・・たんなる思い違いなのかと思っていたら、電波の弱いところにいる時のケータイは電波を必死に探すためスグに充電がなくなるらしい。

もはやケータイ自体が電波を求めるその行為はもはや生き物だ。そう思ったりするとちょっと携帯電話が恐ろしく気味が悪いと思ってしまう。

それを知ってからはケータイの充電の残りが少ないときの地下では極力電源を切っておくようにしている。ほんと苦し紛れなのだが。

そのため最近は地上に出てもケータイの電源を入れ忘れていることもしばしば。

この前もファーストフード店で本を読んでいる最中、隣りの席に座る中年男性がスマホで話している声が喧しくて、自分のケータイに電源が入っていないことを思い出した。

ケータの電源が入っていないことに気付かせてくれたその時の中年男性に意識が向いた時に、話の内容が耳に入ってきたのだけれど、

『そんな怒らないでよ、アンタが・・・荷物をまとめるのを見たくなかったから・・・わざと外で時間つぶしてたんだよ・・・荷物、全部持っていかなくても後で俺が送るよ・・・』といった思わぬ内容でちょっと驚いた。なんとも哀しいお別れのようで、未練がありそうな様子に思えた。

自分のケータイの電源を入れようと思ったけど、電源を入れた途端、僕のケータイは生き物のように電波を探すことだろう。そうなるとすぐ側の中年男性の電波を引き寄せることに違いない。哀しいお別れをしている男性の携帯に流れる電波を。

たとえ僅かであったとしても奪いたくないと思って思わず電源をいれることを躊躇してしまった。そんなこと全然無いのに。

でもまぁ、すぐに電源入れたんだけど。

10.27.2023

相撲の座布団/買った携帯電話

  ・相撲の座布団

横綱を倒したり、素晴らしい勝負だった時に座布団が土俵へ投込まれる映像は子供の頃から幾度となく目にしてきた。

座布団が画面いっぱいに舞う光景はどちらかと言うと清々しく気持ちの良いもので特別に恐ろしく感じたことは今まではなかった。

しかし、昨年からの様々な報道により国民全体の大まかな朝青龍像は、ある程度固定されてきた。

そんな予備知識を持った上で、朝青龍が敗れた直後に観客が笑顔で座布団を土俵に投込む風景は僕の目には異様にうつる。

物語が出来てしまっているので感情も乗せやすいのだろうが、鍛え抜かれた大きな身体全身に汗をかき、時には数秒間の刹那に全てをかけ戦う力士に、敗れた横綱に、座布団を投げる様は恐ろしい。

勝利した力士を称える座布団と考えるのが普通だろうが、その座布団がもう一つ別の意味を持っているのは明白だ。

座布団を投げている者の中には、もう何年も汗をかいていない人間もいるだろう。

正直なところ恐ろしさと同時に物凄く面白くもあるから、今後も投込み続けていただきたいのだが、個人的にはあの座布団は重過ぎて僕には投げることは出来ないだろうと思う。

たとえ面白くても、あらゆる観点から表現が規制されてしまう現代において、結構な内容であるにもかかわらず『かい潜ってるなぁ』と感心もさせられる。

  ・買った携帯電話

携帯電話を新しく購入した。

スマホではなく携帯電話。ガラゲータイプだ。未だスマホには馴染めないでいる。

恐らくこの携帯電話も僕に買われたがために実力の30%も発揮出来ないまま壊れて行くのだろう。

つい最近まで使用していた携帯電話が残酷と思えるほど凄まじい壊れ方をしたためか、お店の人は戦場に持って行っても使えそうな丈夫なタイプのものばかりすすめてきた。

結局携帯の裏側がステンレス素材という見るからに頑丈な携帯電話を購入した。

それから、しばらく使っているのだが、この携帯電話は開くと画面の上の方に小さなカレンダーが出る。

今朝気付いたのだが、そのカレンダーの横に無数のピンク色のハートマークが浮かび上がって大変気持ちが悪い。

仕事上の、『お疲れ様です。了解です。』という無機質なメールを送信しているにもかかわらず画面にピンク色のハートが浮かび上がるため、「密かに想いを寄せているが、その気持ちを伝える事はまだ出来ない。

そんな相手に対するもどかしいメールなのでは?」と強烈なピンクのハートの視覚的主張によって自分の中でありもしない意識を捏造されてしまう。

このままでは困るので、あれこれ触り、何とかハートマークを消そうと努力したが全然ピンクのハートは消えてくれない。まぁ自分が我慢すればすむことだと思い堪えた。

そして先程携帯電話を開いたがハートマークが出ていない。あれは、『ホワイトデーですよ』ということだったのかもしれない。

充電器差し込み口からトナカイの鼻が飛び出すのではないか?と今からクリスマスが怖い。