・缶コーヒー
僕は夏で寝る時にはエアコンは使わない。扇風機を使う。でも扇風機の風にあたりっぱなしになるとすぐに体調を崩してしまうので、基本タイマーで1時間程度で切れるように設定している。
だから寝起きはとても暑い。今日はなんか冷たい缶コーヒーが飲みたくなる。目が覚めるような苦めでありつつも、ミルクも砂糖も入ったものを。
家の中のことを考えるとある程度の暑さを覚悟していたのだが、そういう時に限って意外にも外は思ったほど暑くなかったりする。
そんな時は一気に寝起きの不快感が消滅するような心地良さを感じさせる。自動販売機に小銭を入れコーヒーを買って家に帰るのだ。
そして気付いた。ブラック買ってしまっていることを。
寝起きで目を覚まさせるためにちょっと苦めのコーヒーを買うつもりだったのに、ブラック買ってしまっていた。まだ頭の中は起ききれてなかった。
無理やりに色々と良い感じにしたがる癖がある。さすがにブラックのコーヒーは飲む気がしないから、また買いに行くかどうか悩まされてしまう。
もう一度、缶コーヒーを買いに行こうか?また買いに行って別のメーカーのブラックコーヒーなんか買ってしまったら、家に帰ってふて寝してしまうかも。
そんな夏を待ち焦がれている冬の今日。
・当りか外れか
ラーメン屋で、つまようじを一本引っ張りだしたら真ん中辺りの一部分が焦げ痕のように黒く変色していた。
どうやら無数にあるつまようじの中で、僕が取ったものだけが痛んでいたようだ。
そのつまようじは、少し圧力をかけるとすぐに真っ二つに折れた。
ハズレなしのクジでハズレを引いてしまったような気分だった。
または当たりなしのクジで一人だけ当たってしまい周囲の注目を浴びて後悔しているような状態だ。
こんな夜は家に帰り部屋を掃除する。すると新鮮な気持ちで明日に向えるのだ。
・人ではない声
街を歩いていると、人間ではないものの声がよく聞こえて来る。
このように書いてしまうと、今から自分の出生の秘密と幼き頃に天狗より授かった不思議な能力について語りたくなるのだが、そんな能力は残念ながら持っていない。
人間ではないものの声とは音声ガイドのことである。街を歩いていると、ATMや自動販売機など至る所から声が聞こえて来る。
先日、駅でトイレを探していると、『滝の御トイレです』という声が聞こえて来た。
どんなトイレだろう。滝のように水が流れるのか?自然の滝に放尿するのだろうか?
いずれにせよ面倒臭そうだ。
いっそのこと我慢しようかとも思ったが、一応トイレの様子を見てみようと思い近付いて行くと、『滝の御トイレ』では無く、『多機能トイレ』だった。
わだかまりが消え若干の気持ち良さを感じ、このことを誰かに伝えたいと強い衝動を感じた。