普段なら行かないようなチェーン店でペペロンチーノを食べた。
ペペロンチーノという名前が好きだ。『ぺ』が連続で並ぶというのが良い。ペペロンチーノの、『ロ』がもしも穴埋め問題だとしたら、僕は迷わずそこに『ぺ』を放り込むだろう。すると、『ぺぺぺンチーノ』になる。
そうなってみると、『ぺ』の本来持つ魅力が損なわれてしまったような気がする。素晴らしい能力を持つ典型的なFWが三人いるが、3トップにすると中盤が薄くなって前線にパスが通らない。
しかし、試合に出さないのも、もったいないので、一人は中盤で使ってみた所、全体のバランスが大きく崩れてしまい機能しなくなったサッカーチームのようだ。だから、『ペペロンチーノ』はそのままで良いのかもしれない。
ところで、僕はいつも困ってしまうのだが、ペペロンチーノに入っている炒めたガーリックスライスは全部食べても良いのだろうか。それとも少量残すのだろうか。
僕は、フォークを使うのが苦手なので、上手くガーリックスライスを麺に絡めることが出来ず、大多数が最後まで残ってしまう。だから、ガーリックスライスを残さずに食べようと思うと、終盤にガーリックスライスだけを食べなくてはならない。
逆に、ガーリックスライスは味付けだけのもので意識的に全部食べるようなものではないと店員さんが思っていたとするなら、全部食べてしまっては具合が悪い。皿をさげる店員さんに、『こいつ、ガーリックスライス全部食うてる』と思われ、お店で「ガーリックスライス」というニックネームが付いてしまうからだ。 そのようなニックネームが一旦定着してしまうと、そのイメージを払拭することは簡単ではない。
僕がペペロンチーノを注文する度に厨房は、『ガーリックスライス来た〜!』と盛り上がり、僕のペペロンチーノにだけ多めにガーリックスライスを入れてくるだろう。
それが幾度も繰り返された頃、恐らく僕は大きな皿に山盛りとなったガーリックスライスだけをフォークに突き刺し口に運んでいるだろう。
時間が空いたら、『おうどんとパスタの正しい食べ方』という類いの本を探しに行こう。目次に、『パスタの食べ方に正解などない』という項目があったら、僕は迷わずそのページを開くだろう。