広告表示

ページガジェット

パンダ?

家族と一緒に御飯を食べ終えたあと、みかんを食べるかどうか迷っていると、友達の横山くんがバイクで迎えに来てくれた。

僕は上手にバイクを運転出来るかとても不安だった。『なんとか頑張ってケガだけないように運転するわ』と僕が言うと、『運転は俺がやる、マッタン免許ないし』と横山くんが言ってくれた。良かった。助かった。横山くんが無理やり運転を強要するような友達じゃなくて。

二人でバイクに乗り、しばらく走った。僕が、『遅ぇな』とつぶやくと、『マッタン薄着やから寒いしゆっくり走ってんねん』と横山くんが言った。

思い出話を思い出す前に、もう一人の友達の家に着いた。インターホンを押し、『パンダ?』と聞くと、友達の難波くんは『うん』と言った。

この感じならば承諾してくれるかもしれないと期待に胸を膨らませ、『2階の出窓から入ってもいい?』と聞くと、『あかん』と断られた。

2階の出窓から家に上がることを、学生時代から通算100回以上は断られている。いくら仲が良くても、2階の出窓からは家に上がらしてもらえないのだろうか。

歩いてコンビニに何か買いに行こうと二人を誘い出し、このコンビニじゃない、このコンビニじゃない、このコンビニじゃないと三つのコンビニをやり過ごし、2キロほど歩かせた。

彼にはちょっとひどいことをしたような気がしたけど、本当は、ただ歩きたかっただけだ。本当に、ただ歩きたかっただけなのだ。

中学校の正門が見えて来たので、8年くらい前の真夜中に、あの門から学校の中をのぞいた思い出を語ると二人共全く覚えていなかった。

『母校を懐かしそうに見つめて感慨に耽っている皆に、俺が「すね毛金髪に染めてん」って言うたら、「今の雰囲気に全然合わへんこと言うな、せめて髪金髪やったらわかるけど、すね毛金髪って何やねん!」って皆少し怒ってたやん?

ほんで髪の毛と、すね毛は十代の内は対等やって話ながら帰ったやん、そうや十九歳の時や』 と僕が言ったが、『あ〜』みたいなどっちでも別にいいみたいな反応だった。

パンダの2階の出窓を盗んで校門に設置し一日に何百人という思春期の中学生が出たり入ったりするようにしてやろうかなと思った。まだ少し寒いから、もう少し暖かくなってから。

注目の投稿

初めての閑話休題

最近はあまりにも日常が驚きの大変さで人生防戦一方って感じだったのだが、戦えば戦うほどに死の淵から甦るほどに強くなる戦闘ステータス変化系生命体としては今年の経験を糧に来年はもう少し攻めの姿勢をみせていきたいと無性に思っているこの頃。    ・ 企業合併に伴うネーミング事情 ...